すずはら なずなさん
レビュアー:
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喪失の悲しみより 一緒に居た時間の幸せが勝ると感じることが きっと喜びを呼び起こす。日本の作家の感性がじわじわと心にしみる作品。

酒井駒子さんの絵が好きだ。
静かで深くていつまでも心に残る。
また 文がこの人だ。「夏の庭」の湯本香樹美。
良くない訳がない。心に響かない訳がない。
くまは大事な友達のことりを亡くす。
くまは ことりを花と共に奇麗な箱に入れ
いつも傍に持ち歩くのだ。
奇麗な箱ね 何が入っているの?見せて?
誰も悪意もない。
開けられて 言葉に詰まる。
それだって 悪意のかけらもないのだ。
大事な友達だったんだよね。
でも 死んでいるんだよ。
もう さよならした方がいいよ。
大事な思い出なのは解るけど。
言葉は同じではなかっただろうが そんなことを皆は言うのだ。
そうだろう。
誰もが優しい。そして「生きている者」のために助言するのだ。
大事な友達の亡骸を くまはどうしたらいいのだろう。
くまはどうしたら幸せになれて 笑えるんだろう。
胸が詰まって 詰まって たまらない。
ふと出会ったやまねこは旅の者で
バイオリンの箱を持っていた。
その奇麗な箱を見せておくれ。
応じて見せたくま。
ことりの亡骸を見て やまねこは くまにとってどんなにことりが大事だったか
気づいてくれるのだ。
共感。
受容。
哀しみを乗り越えるのに必要なものを
やまねこは身体で知っていたのだ。
詳しくは語られないが やまねこ自身の哀しみを持って。
音楽はひとを癒す。
何かを学ぶことも
未来に向け 自分が身につけるべく学ぶことも
前に向けて進むことが自分を癒すのだ。
やまねこはそのきっかけを与えてくれたのだ。
くまは少しずつ乗り越えるだろう。
大事なものは大事なまま。
忘れたくないものは忘れないまま。
喪失の悲しみより 居た時間の喜びが大きいことに気づくまで
その喜びに のこされた者が満ち足りるまで、時間を掛けゆっくりと、
残された者の哀しみは 癒されていくのだ。
モノクロームから 印象的な一色の赤へ。
何も描かれていない頁へ。
「子供向け」の絵本の縛りを越え、
伝えたいひとへ、この言葉を求めているひとへ
大切で温かく 強いメッセージが 溢れてくるのだ。
海外の絵本でも同じテーマを扱った名作がいくつかある。
「わすれられないおくりもの」や「ずーっとずっとだいすきだよ」などが思い出される。
どれも大好きな心に残る作品だが、この静けさは何だろう。
語りすぎず 描きすぎず、読み手の心にぐいぐい迫り
心に呼び掛ける。
感じて、と。
心に残して いつかでいい、響いて、と。
子供さんには今すぐ、と言わず、気が付けばこの絵本、あったんだよね
と いう風に 家に置いて欲しい、
そんな一冊。
静かで深くていつまでも心に残る。
また 文がこの人だ。「夏の庭」の湯本香樹美。
良くない訳がない。心に響かない訳がない。
くまは大事な友達のことりを亡くす。
くまは ことりを花と共に奇麗な箱に入れ
いつも傍に持ち歩くのだ。
奇麗な箱ね 何が入っているの?見せて?
誰も悪意もない。
開けられて 言葉に詰まる。
それだって 悪意のかけらもないのだ。
大事な友達だったんだよね。
でも 死んでいるんだよ。
もう さよならした方がいいよ。
大事な思い出なのは解るけど。
言葉は同じではなかっただろうが そんなことを皆は言うのだ。
そうだろう。
誰もが優しい。そして「生きている者」のために助言するのだ。
大事な友達の亡骸を くまはどうしたらいいのだろう。
くまはどうしたら幸せになれて 笑えるんだろう。
胸が詰まって 詰まって たまらない。
ふと出会ったやまねこは旅の者で
バイオリンの箱を持っていた。
その奇麗な箱を見せておくれ。
応じて見せたくま。
ことりの亡骸を見て やまねこは くまにとってどんなにことりが大事だったか
気づいてくれるのだ。
共感。
受容。
哀しみを乗り越えるのに必要なものを
やまねこは身体で知っていたのだ。
詳しくは語られないが やまねこ自身の哀しみを持って。
音楽はひとを癒す。
何かを学ぶことも
未来に向け 自分が身につけるべく学ぶことも
前に向けて進むことが自分を癒すのだ。
やまねこはそのきっかけを与えてくれたのだ。
くまは少しずつ乗り越えるだろう。
大事なものは大事なまま。
忘れたくないものは忘れないまま。
喪失の悲しみより 居た時間の喜びが大きいことに気づくまで
その喜びに のこされた者が満ち足りるまで、時間を掛けゆっくりと、
残された者の哀しみは 癒されていくのだ。
モノクロームから 印象的な一色の赤へ。
何も描かれていない頁へ。
「子供向け」の絵本の縛りを越え、
伝えたいひとへ、この言葉を求めているひとへ
大切で温かく 強いメッセージが 溢れてくるのだ。
海外の絵本でも同じテーマを扱った名作がいくつかある。
「わすれられないおくりもの」や「ずーっとずっとだいすきだよ」などが思い出される。
どれも大好きな心に残る作品だが、この静けさは何だろう。
語りすぎず 描きすぎず、読み手の心にぐいぐい迫り
心に呼び掛ける。
感じて、と。
心に残して いつかでいい、響いて、と。
子供さんには今すぐ、と言わず、気が付けばこの絵本、あったんだよね
と いう風に 家に置いて欲しい、
そんな一冊。
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実家の本棚の整理を兼ねて家族の残した本や自分の買ったはずだけど覚えていない本などを読んでいきます。今のところ昭和の本が中心です。平成にたどり着くのはいつのことやら…。
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:48
- ISBN:9784309270074
- 発売日:2008年04月17日
- 価格:1365円
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